サステナブルからウェルネスへ
「なんとなく不調」が食品OEMの次の市場に
次に売り場が動くのは、病名のつかない不調です。「最近なんとなく疲れが抜けない」「眠りが浅い」「お通じがすっきりしない」病院に行くほどではないけれど気になる、あの感覚。医薬品ではなく毎日食べる食品でケアしたいというニーズが、中小食品メーカーにとっての新しい棚をつくり始めています。
連載でこれまで欧州、米国、東南アジア、中東と、世界のサステナブルな食づくりを巡ってきました。地域は違えど、見えてきたのは「持続可能なのは地球だけではない」ということ。土壌や生態系と同じく、私たち自身の身体もまた、ケアし続けなければ持続しない。今回はその"もうひとつの持続可能性"、ウェルネス領域で起きている食品OEMの新しい形をご紹介します。
「未病」は、難しい話ではありません
ウェルネスや「未病」と聞くと、医療や薬の話に聞こえるかもしれません。でも、扱うのは冷え・眠り・肌・腸といった日常の不調です。サプリや錠剤ではなく、お茶・スープ・だし・粉末・スティック飲料といった"いつもの食品"の形で取り入れたい。そういう需要が伸びています。
機能性表示食品の市場は、制度が始まった2015年4月から拡大してきました。2024年の見込み市場規模は約7,274億円(富士経済調べ)。サプリではなく、毎日の食卓に並ぶ食品の中で「なんとなく身体に良さそう」という選択肢を持つことが、消費者の当たり前になりつつあります。
ただし、機能性表示まで行かなくても勝負はできます。一般食品のままで、お茶・スープ・だしに「休息」「温め」「めぐり」「腸活」の文脈を載せるだけで、棚は動きはじめているというのが、私の現場感覚です。
中小食品メーカーにこそ追い風な、3つの理由
「とはいえ大手の話でしょう?」と思われるかもしれません。でも私は、ウェルネスこそ中小メーカーが勝てる場所だと考えています。
1つ目は、小ロット・短サイクルが効く市場だということ。 消費者の不調は冷え・眠り・肌・腸と細かく分かれています。この細かさに、大手の重い開発フローはついていけません。数千本単位・半年サイクルで動ける中小こそが、棚を取れます。
2つ目は、地域素材そのものが"効能ストーリー"になること。 御社が普段扱っている地元の野菜・穀物・果物には、その土地で食べ続けられてきた理由があります。薬膳には「身土不離(しんどふじ)」身体と土地は切り離せないという古い言葉があります。地元素材を使うこと自体が、すでにウェルネスの物語なのです。
3つ目は、"誰がどう作ったか"の透明性が、信頼に直結すること。 健康に関わる商品ほど、消費者は作り手の顔を見たがります。社長が毎日工場に立ち、素材を自分の目で確かめている。その事実は、何十億円の広告にも勝ります。
Agritureで起きていること
私たちAgritureが運営する「やさい薬膳(yasai-yakuzen.com)」では、3分でできる体質診断を入口に、自分の不調に合った乾燥野菜が選べる導線をつくっています。難しい薬膳を、スーパーで手に入る野菜のレベルまで翻訳する。この一手間で、見慣れた野菜が「自分のための処方箋」に変わります。
その流れで弊社にもOEMで薬膳商品を作りたいご相談をいただく機会が増えました。働く人向けのお茶を作りたいや、フルーツティー、野菜ミックスなど多岐にわたります。このような単なる食品OEMから、サスティナブル要素へ進化し、さらにはウェルネスにまで広がっているように思えます。
連載をひと区切り、次回へ
サステナブルを巡る旅は、地球と身体のサステナブルを繋ぐ旅でもありました。次回からは、このウェルネスというテーマをもとにOEMについて触れていければと考えています。
株式会社Agriture HP:https://agriture.jp/
やさい薬膳HP:https://yasai-yakuzen.com/