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皆さん、こんにちは。
リライズコンサルティングの南口です。
2024年を迎え、今年1年のことを色々と思案されている中で、本コラムをご覧の方も多いかと思います。2024年は、特に物流が課題となる企業が多いため、以下のテーマでお話ししたいと思います。
「食品EC事業者にとっては、物流に振り回される2024年!~物流2024年問題と食品EC事業への影響~」
食品EC事業において、物流は極めて重要な要素です。2024年4月1日から施行される働き方改革関連法により、自動車運転業務における年間の時間外労働が960時間に制限されます。これに伴う「物流2024年問題」は、特に人手不足が深刻な物流業界に大きな影響を及ぼすと予想されます。
「物流2024年問題」の概要:
この問題は、時間外労働の上限設定により、運送業者の労働時間が制限され、結果として配送能力が低下することが懸念されています。これは特に地方のEC事業者に大きな影響を与える可能性があります。多くの食品ECは主要都市圏で売上が上がっていますが、主要都市圏から遠い地域ほど、都市圏へのニーズを満たせなくなり、地域格差が生じ、売上に悪影響が出ることが予想されます。
地方EC事業者への影響:
私が支援している広島県の食品EC企業の例を挙げます。2022年10月、広島から首都圏への配送が、従来の翌日から翌々日へと延びました。その結果、売上が約30%減少しました。現在の市場では翌日配送へのニーズが高まっているため、配送時間の延長は大きな競争上の不利につながります。
大手ECプラットフォームの動き:
AmazonやYahoo!ショッピングなどの大手プラットフォームでは、「すぐ届く」サービスの重要性が高まっています。これにより、配送速度が検索結果や顧客選択に大きく影響しており、物流2024年問題はこれらのプラットフォームでの競争にも影響を与えています。そこに加えて、2023年5月に発表があり、2024年6月から開始すると発表した楽天の配送品質向上制度の「配送認定ラベル」も、市場の動向に大きく影響するでしょう。
この懸念の原因となっているのは、2022年にYahoo!ショッピングで行われた「優良配送ラベル」の付与です。これは、特定の配送基準を満たしたショップにのみ「優良配送」というバッジを付与され、検索で優位に立つようになりました。この配送基準には「配送日数」が含まれており、主要都市から遠い地域の企業は基準を満たすことが難しく、結果として主要都市のユーザーの目に触れる機会が減り、売上が低下する傾向にあります。もちろん商材や用途によって影響度は異なりますが、遠方ほど不利益を被っていることが多く見受けられます。
まだYahoo!ショッピングと同様の動きがあるとは正式にはアナウンスされていませんが、AmazonやYahoo!ショッピングの動向に合わせていくこと、または同様の仕組みが導入される可能性を想定して準備する必要があります。逆に中部地方などは物流上の優位性を活かせるため、積極的な対策をお勧めします。
対策と将来展望:
抜本的な対策としては、やはり「物流のアウトソーシング」が挙がります。ただ、何十億、何百億円もの物流をアウトソーシングできる事業者であれば、アウトソーシングでほとんどの問題が解決できますが、2~3億円未満のショップでは、物流量が足りず等、物流をアウトソーシングすることで注文1件あたりのコストが上昇して、収益性が低下から物流のアウトソーシング化を断念せざるを得ない八方塞がりに陥る企業も出てきます。
そこで、その八方塞がりに対処するためには、下記2つのバランスが必要です。
・アウトソーシングする商品を絞り込む
・在庫管理の最適化と売上予測の精度向上
それでも困難な場合は、
・一次的な収益性の低下は止む無しとし、アウトソーシングの外注化に足りる販売量まで敢えて販促を加速させていくこと
・商品の再設計
を視野に、検討を重ねていくショップもいらっしゃいます。
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