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レポート70 / 「中小食品メーカーEC年商1億円突破への正しい道しるべ」
 
 
     
 




中小食品メーカーEC年商1億円突破への正しい道しるべ



皆さん、こんにちは。ジャパンフードカンパニーの南口です。


昨今、地方の食品メーカーを取り巻く環境は、かつてないほど厳しさを増しています。


人口減少は国内市場の漸進的な縮小を意味し、既存の流通・実店舗販売の限界を露呈しています。さらに、人件費、原材料費の高騰は利益率を深く圧迫し、「現状維持」がそのまま「衰退」に直結する時代となりました。


高市内閣によるガソリンの暫定税率廃止が実行され一時的な反響は出るかと思いますが、それ以上に原材料や人件費が上がる中、根本的な問題解決には至らないと私は考えています。


このような厳しい環境下で生き残り、成長を続けるための市場として挙がるのが「EC」「海外」「インバウンド」です。


海外販路開拓やインバウンド需要の取り込みは、もちろん重要です。ただ既存ルートがない企業にとって中長期的な視野が必要な打ち手です。一方「EC」は、すでに多くの企業が着手はしており、最も現実的かつ速効性のある打ち手であると言えます。


にもかかわらず、その可能性を活かしきれず、「なんとなくEC」を続けている企業が多いのも事実。


本レポートは、まさにそうした現状に危機感を抱き、EC事業の変革を目指す方に向けて作成しました。


今こそ、この惰性的なECから脱却し、正しい原則に基づいた戦略を実行することで、この逆境を乗り越え、収益のある事業にしましょう。

本レポートは、そのための道しるべにしてください。



1. EC市場の成長性と高まる競争



日本のEC市場規模は、物販系分野においてコロナ禍以降も着実に拡大を続けており、消費者のオンライン購買行動は定着しました。特に食品ECは大きな伸びしろがあります。経済産業省の調査によると、物販全体のEC化率が9.78%に達するのに対し、「食品、飲料、酒類」分野の日本のEC化率はわずか4.52%に留まっています。これは、諸外国の平均EC化率19.4%と比較しても極めて低水準であり、食品EC市場の拡大余地が大きいことを示しています。


しかし、市場の成長率よりも供給(ショップ)の増加率の方が高いとの報告もあり、EC市場における競争は激化しています。成長の鈍化は避けられないため、EC事業においては「今より後に良いタイミングが来る」ということはなく、常に「今」が最良のタイミングと言えます。



2. 「間違った努力」からの脱却と本質的な課題



ECをされている多くの経営者から「色々と試しているが、結局何をすれば売上が伸びるのかわからない」というご相談をいただきますが、その多くが売上を伸ばすための本質的な要素から外れた「間違った努力」をされています。


特に以下の例が散見されます。


流行への過剰反応: Instagram、TikTok、インスタグラム、AIなどのブームに振り回され、優先度の低いコンテンツ制作やツール導入に労力を浪費している。SNSは集客手段の一つに過ぎません。

「見た目」への過剰注力: ECサイトのデザイン一新やブランディング改善に投資しても、「お店作り」の視点が欠けているために売上が伴わない。特に、ECを理解していない制作会社やコンサルティング会社によるビジュアル重視の提案は、自己満足に終わる危険性があります。


まずEC事業は、実店舗と同様に「お店」であるという認識が重要です。


ECにおける売上は、以下のシンプルな方程式で構成されます。


売上 = 新規顧客売上 + リピーター売上


新規顧客売上 = ①新規顧客アクセス数 × ②新規顧客転換率 × ③新規顧客客単価


どんな新規事業も、まず「新規顧客」を獲得できなければ、リピートや客単価向上といった次のステップに進めません。売上が停滞しているショップの課題は、ほとんどの場合、①新規顧客アクセス数、または②新規顧客転換率(CVR)のいずれか、もしくは両方に問題を抱えており、そのほとんどが集客(新規顧客の獲得)への投資が不十分であるケースが非常に多いのです。



3. 売上停滞企業に共通する根本的な問題



EC事業がうまくいっていない企業は、以下の問題点の複数個を抱える傾向があります。特に、相談を受ける企業の80%以上が、EC事業に対する根本的な姿勢や理解度の課題(課題1~5)を抱えています。


1.経営者が本気で関わっていない
2.自動販売機と勘違いしている
3.事業責任者がいない、施策がやり切れていない
4.ECのビジネスモデルの特徴を理解できていない
5.販促投資が行えていない(後投資型事業であることの理解不足) 6.自社事情を優先しすぎている(3C視点の欠落) 7.新規顧客が集まらない 8.リピート作りが出来ていない



開始当初のEC事業は、売上が小さい時期ほどやるべきことが多く、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが悪い「非効率」な事業です。むしろ売上が増えて作業が増えず、売上が上がることで効率が上がる事業であるという側面を持ちます。



4. 年商1億円を突破させるための3ステップ



年商1億円突破に向け、食品メーカー特有の「自社の製品カテゴリーから離れられない」というジレンマを理解した上で、段階的に戦略を実行する必要があります。


Step 1: 「これしか売れない」でもOK!ECで売れる1品を確立する


まずは、年間500万円〜1,000万円の売上を作れる「ECで売れる1品」(単品またはセット)の確立を目指します。


・投資回収モデル: 食品ECでは初回注文で販促費を回収できない商材が多いため、リピート売上や定期購入によって販促投資を回収するモデルの構築が必須です。

販促ガイドライン: 自社サイトにおいて、初回LTV(初回注文の粗利額 - CPO)がマイナス1,500円〜2,000円程度を許容範囲として設定し、この範囲内で新規顧客獲得ルート(検索広告、SNS広告など)を模索・確立していきます。

停滞原因は、販促投資の不足、初回LTVの許容範囲超過、その製品における検索の限界に集約され、これらに合わせた対策(広告見直し、転換率改善など)を講じることで成長軌道に乗せられます。


Step 2: EC商圏の展開&商品の用途付加(売上の体積を増やす)



1アイテムだけで1億円を突破することは稀であり、年間1,000万円を稼げるアイテムを10品程度持つことを目指す方が成功の再現性は高まります。以下の3軸で売上の体積を増やします。



1.EC商圏の展開: 自社ECサイトに加え、集客力に優れるAmazon、楽天市場といったECモールへ展開し、リーチできない層に届ける「EC上の商圏」として活用します。

2.用途カテゴリーの付加: 「ギフト専用詰め合わせ」「お弁当向け冷凍パック」「時短調理向け加工品」といった用途を付加した専用商品化を進め、顧客の購買動機(利用シーン)を増やします。

3.商品数(SKU)の拡充: 仕様スペック開発や企画変更を通じて商品数を増やします。「売れる一品」がある頃には、競合や市場への理解度(解像度)も高まり、仮説を元に新商品を投入する好循環になっています。


Step 3: EC事業の業務効率化と収益性を高めていく



先にも述べた通り、EC事業は売上拡大に伴い、業務効率化が進み、収益性が高まります。


バックヤードの効率化: 受注処理の自動化や出荷日の自動計算など、既存のシステムやツールを活用し、業務を効率化します。自社オリジナルのシステム開発は絶対に避けるべきです。自社の既存のやり方にシステムを合わせるのではなく、既存の社内ルールや体制にとらわれず、ゼロベースで業務プロセスを再設計することで大幅な収益改善に繋がります。

収益性改善のファクター(人件費の固定費化): 発送に関わる人件費は売上アップとともに変動費的に増加しますが、受注処理やマーケティング分析・プランニングに関わる人件費は、年商100万円でも1億円でも専任者1名で対応できる範囲が広く、ほぼ固定費として捉えられます。売上成長に伴ってこの人件費率(固定費率)が下がるということが、収益性アップの1つのファクターとなります

【警告】安易な外注化の危険性: この収益構造から、マーケティング業務や受注処理を、初動時に固定費を抑える目的で成功報酬型で外部委託することは危険です。本来、売上が上がることで下がるべきコスト(人件費率)が売上に比例して増大し、利益を圧迫する上、ノウハウが自社内に蓄積されないという致命的な問題を引き起こします


これまで年商1億円突破を私が支援した企業は、すべてこのステップで着実に成長を遂げています。2024年にEC売上9500万円だったとある惣菜メーカは、2025年現在、前年比145%で推移しています。


EC年商5,000万円を超えてくると、本日お伝えした内容を頭ではなく「体感」として理解できるようになり、成功の再現性が高まります。その結果、EC年商1億円への道のりがより確かなものになるでしょう。


しかし、お伝えした内容を実践しても年間1,000万円の壁を超えられない場合、根本的な課題は「商品」そのものにある可能性が高いと言えますので、見直しが必要です。


商材、規模、割ける人員、コストなど、企業の事情は1社1社異なります。「それでも自社にとって最適な道筋は?」とお悩みあれば、ぜひ弊社の無料相談をご利用ください。


食品EC歴14年の専門家が、御社の個別の事情に沿った最適なご提案をいたします。


▼ジャパンフードカンパニーの食品EC支援について


https://jfood-c.jp/food-ec/


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ジャパンフードカンパニー(JFC)

「海外進出」「デジタルマーケティング」「Eコマース」を活用し、日本の中小食品メーカーの売上アップを支援することを得意としています。画一的なソリューションではなく、企業の個性を最大限に活かし、成長する企業作りを得意としています。

企業HP https://jfood-c.jp/



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